Credit
所在地:東京都
建築設計:一色ヒロタカ+桑尾侑子
建築施工:コーケン
延床面積:59.31m²
竣工:2023年11月
1981年に建てられた鉄筋コンクリート壁式構造の3LDKマンションを、部屋や洗面室などをLDKにつなげ、大きなワンルームのような空間へとリノベーションしました。住宅としての機能や部屋という単位にできるだけ縛られず、暮らしの中に「間(ま)」としての余白を取り込む住まいのあり方を設計しています。
壁式構造のマンションは、コンクリートの構造壁で多くの部屋が仕切られており、間取りの大きな変更が難しいという課題があります。そこでその壁を「空間を仕切るもの」ではなく、「暮らしに奥行きをもたらす手がかり」として読み替えることで、新たな可能性を探りました。
この住宅では、既存の構造壁のつながりを読み解き、独立していた部屋や機能を丁寧につなぎ合わせ、ひとつの大きなワンルームとして再構成しています。構造壁と構造壁のあいだには収納や小さな居場所を設け、ゆるやかな距離感をつくりながら、視線や気配が交差する関係性を生み出しています。ここでは構造壁が空間を分ける境界ではなく、場所のつながりや「間」のおおらかさを感じさせる手がかりとして機能しています。
この「間」という空間は、用途や機能の重なりを許容することで、暮らしをひとつの形に固定せず、その時々の過ごし方や家族の変化に応じて、ゆるやかに場を変えていく住まいとなっています。
動かせない構造壁のあいだに、そっと暮らしを差し込む設計は、家族それぞれのふるまいを受け入れ、日々の出来事が少しずつ積み重なっていく「間」を生み出します。
「壁」という制約の中から生まれた、多様な暮らし方をおおらかに受け止める住まいのカタチです。
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所在地:東京都
建築設計:一色ヒロタカ+桑尾侑子
建築施工:コーケン
延床面積:59.31m²
竣工:2023年11月