Credit
団地共有部リノベーションによる団地継承
所在地 :神奈川県横浜市緑区
主要用途:団地内拠点施設
事業主 :NPO法人KUSC
建築設計:一色ヒロタカ + 塩脇祥
(irodori+神奈川大学建築学部まち再生コース)
既存設計:全体設計 群建築研究所(緒方昭義他)
キッチン設計 テノアト設計工舎
建築施工:株式会社関西金属
敷地面積:8,045.00m²+池7,000 m
建築面積:4,647.7㎡
延床面積:5,226.0㎡
床面積 :210.00㎡(セントラル)
床面積 :53.1㎡(エアラボ)
階数 :地上6階 塔屋2階
竣工 :2024年9月
撮影 :irodori
団地に研究所をつくり、団地を未来へと動かす
「自然というものは『セットとしての自然』でなければならず、少なくともハコニワなどであってはならない」(建築文化1972年12月号)。これは竹山団地の設計者である緒方昭義が、竹山団地の設計思想について語った一節であり、生態系を持った自然を都市施設として位置付け、本計画が個別性・多様性が保証される住環境創出であると定義したものである。
1972年に竣工した竹山団地センターゾーンは、分譲住宅2,508戸、賃貸住宅290戸からなる大規模団地の中心エリアとして整備されたものであり、ここでの暮らしを支える店舗やからなる施設群と人工池は、センターゾーンにおける住民の主動線となるプロムナードで接続されている。当時、緒方昭義は「自然との共生と、そこから生まれる多様性」に重きを置き、人工地盤と人工池による明快な構成で住環境を構築し、50年経った今もその空間と独自の文化が受け継がれているのである。
しかしながら現在の団地は高齢化率45%を超え、その未来を模索していかなければならない状況である。そこへ2020年、神奈川大学サッカー部大森酉三郎監督が神奈川県住宅供給公社と協働するかたちでコミットし、サッカー部員が団地に住まい、学生による団地をフィールドとした学びの場として、団地の未来を模索する試みがスタートした。
「団地に研究所をつくる」という取り組みは、大学としての研究・教育のフィールドを団地へ展開するものである。大学関係者を中心に構成され、「多世代の人々のQOL向上とスポーツ強化や普及に努める」ことを目指すNPO法人KUSCの実践であり、「セントラル」「エアラボ」「キッチン」の3つの研究所で構成され、センターゾーン施設群の空き区画を活用した学びの場づくりである。プロムナードに点在する3つの施設は分棟のように、機能と活動の横断的関係性を持ち、地域コミュニケーションの場であると同時に、学生やNPO法人が実施するプログラムの実践の場として、新たな暮らしの循環をつくり出そうとするものである。
この研究所というビルディングタイプは、学生が団地に居住し、地域住民との日常の実践をセンターゾーンへ重ね、「セットとしての自然」へ新たな輪郭を与えていく実験場である。これは緒方昭義が目指した住環境を更新していく、団地設計のバトン継承であると捉えている。
Credit
団地共有部リノベーションによる団地継承
所在地 :神奈川県横浜市緑区
主要用途:団地内拠点施設
事業主 :NPO法人KUSC
建築設計:一色ヒロタカ + 塩脇祥
(irodori+神奈川大学建築学部まち再生コース)
既存設計:全体設計 群建築研究所(緒方昭義他)
キッチン設計 テノアト設計工舎
建築施工:株式会社関西金属
敷地面積:8,045.00m²+池7,000 m
建築面積:4,647.7㎡
延床面積:5,226.0㎡
床面積 :210.00㎡(セントラル)
床面積 :53.1㎡(エアラボ)
階数 :地上6階 塔屋2階
竣工 :2024年9月
撮影 :irodori